富国生命投資顧問株式会社

レポート

2015年6月-Vol.229

まとめ

今月のポイント

26日に消費者物価指数が発表されます。4月の全国CPI(除く生鮮)は、前年比で+0.3%となり、消費増税の影響を除くとほぼ0%となりました。日銀は4月の展望レポートで、物価目標である2%の達成時期を2016年度前半に先送りし、今後については、「エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移するとみられる」としていますが、エネルギー価格下落の影響により電気代等の値下げが予想され、一時的にマイナスとなる可能性が高いとみられます。足元では食料品を中心に値上げが相次いでいますが、物価統計にどの程度反映されてくるかが注目されます。

市場動向
国内債券 日銀の国債買入策等の影響から金利は小幅に低下すると予想する。
国内株式 海外の景気や市場動向には注意が必要なものの、日本企業の業績は拡大基調が続く見通しであり、高値圏での相場展開を予想する。
外国債券 <米国>利上げ見通しから金利に上昇圧力が掛かるものの、金利上昇時の米国債への買い需要は強く、レンジ内で横這いの動きとなろう。
<欧州>ECB(欧州中央銀行)の国債買入れが継続することから、金利は緩やかに低下する展開を見込むが、市場が乱高下するリスクには注意が必要だろう。
外国株式 <米国>主要な経済指標に連れて振れる金利動向のほか、減速懸念の払拭出来ない企業業績などを材料に、一進一退で横這いでの推移を予想する。
<欧州>ECBの量的緩和による中長期的なユーロ安が見込まれ企業業績改善期待が継続すると予想するが、ドイツを中心に金利反転の動きもあり、米国同様一進一退となるだろう。
為替市場 米利上げ見通しや、本邦投資家の押し目でのドル買い需要の強さから、緩やかにレンジを切り上げながら円安ドル高が進むだろう。ECBの国債買入れが継続されることや、ギリシャ支援交渉の不透明感が残ることから、ユーロは対ドルで緩やかに下落するだろう。
虫眼鏡

『サッカー観戦の新しい楽しみ方』

ポイント

26日に消費者物価指数が発表されます。4月の全国CPI(除く生鮮)は、前年比で+0.3%となり、消費増税の影響を除くとほぼ0%となりました。日銀は4月の展望レポートで、物価目標である2%の達成時期を2016年度前半に先送りし、今後については、「エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移するとみられる」としていますが、エネルギー価格下落の影響により電気代等の値下げが予想され、一時的にマイナスとなる可能性が高いとみられます。足元では食料品を中心に値上げが相次いでいますが、物価統計にどの程度反映されてくるかが注目されます。

今月の主なポイント
6/11 4-6月期法人企業景気予測調査・・・企業の景況感に改善がみられるか
6/16 (米)FOMC(連邦公開市場委員会)・17日まで
・・・委員の政策金利見通し、議長会見に注目
6/26 5月全国CPI・・・上記参照
6/29 5月鉱工業生産・・・製造工業生産予測調査では前月比+0.5%
消費者物価指数

国内債券

指標銘柄/新発10年国債
5月の国内債券市場

5月の債券市場は下落(金利は上昇)した。10年国債利回りは、月初、ドイツ国債の金利急騰をきっかけとした海外金利の上昇を受けて、連休明けには0.4%台半ばまで上昇した。その後は、金利上昇による投資家の押し目買い意欲や海外の金利リスクへの懸念が交錯する形で、0.4%を挟んで荒い値動きとなった。月末にかけては、海外金利の上昇に一服感が表れたことやギリシャ情勢への懸念を受けて金利は低下に転じ、0.39%で終了した。

月初、4月に0.1%を下回る水準にまで低下したドイツの長期金利が急上昇したことを発端に海外金利が大きく上昇したことを受けて、長期金利はボラタイルな動きを伴いつつ上昇基調で推移した。連休中にはイエレンFRB(連邦準備理事会)議長が金利上昇リスクに言及し、連休明けの10年国債入札が不調に終わったこともあり、月半ばには0.45%を超える水準にまで長期金利は上昇した。月後半は、米国での社債発行による需給の悪化懸念、イエレンFRB議長が景気回復を前提に年内の利上げは適切との考えを示したことによる金利上昇懸念と日銀の国債買入策が続く中、国内の金利上昇は行き過ぎとの見方が交錯する形で、0.3%台後半から0.4%台前半での値動きとなった。月末にかけては、海外金利の上昇に一服感が表れ、20年債入札が順調に消化されたことやギリシャ情勢への懸念を受けて金利は低下に転じ0.39%で終了した。

イールドカーブは、長期、超長期ゾーンを中心に金利が上昇し、ベアスティープ化した。

信用スプレッドは、概ね横這いで推移した。

6月の国内債券市場

6月の債券市場は、日本経済の回復ペースが緩やかであることから、金利上昇圧力が緩やかになるだろう。米国の景気動向が好転すれば、金利上昇への懸念が高まる状況も想定されるが、ECB(欧州中央銀行)による量的金融緩和策や世界的な物価上昇率の低さ、日銀の国債買入策に支えられ、金利は小幅に低下する展開を予想する。

6月の債券市場のポイントは、①ギリシャ情勢、②国債入札と日銀の国債買入策、③米国の景気動向と考える。

①(ギリシャ情勢)ヘッドラインに振り回されやすいだろう。当面の資金繰りへの不安払拭、および7月以降の支援のためには、ギリシャ政府と債権団の合意形成が必要だが、両者の利害調整には時間がかかるとみられる。合意が形成されるまで、金融市場の不安定要因となるだろう。

②(国債入札と日銀の国債買入策)6月は月前半に国債入札が集中しており、金利上昇要因となるものの、引き続き日銀の国債買入策が金利低下要因となるだろう。ただし、国債市場の流動性が低下しており、ボラティリティの高まりには注意が必要だ。

③(米国の景気動向)1-3月期の景気落ち込みがFOMC(連邦公開市場委員会)の指摘通り一過性なのか否かがポイントになるだろう。景気回復ペースが加速すると考えられるならば、金利上昇観測を背景に債券市場が乱高下する可能性はある。ただし、FRBは慎重に利上げを進める見込みのため、大幅な金利上昇は抑制されるだろう。

イールドカーブは、国債入札や日銀の国債買入れに対する投資家の思惑からスティープ化とフラット化を繰り返す展開を予想する。

信用スプレッドは、概ね横這いで推移すると予想する。

国内株式

日経平均株価225種東証株価指数(TOPIX)
5月の国内株式市場

5月の株式市場は、外国人投資家を中心に日本株を買う動きが活発となり、日経平均株価で5.34%と5ヵ月連続の上昇となった。月初は海外の金利上昇や米国の経済指標の発表を受け、弱含む局面もあったものの、企業の3月期決算発表での好調な業績見通しや1-3月期のGDP速報値が市場予想を上回ったことが好感されたほか、世界的な金融緩和の流れが続くことなどを背景に上昇基調となった。月末にかけては、円安の進行により業績の上振れ期待が高まり、27年振りに11営業日連続で上昇するなど一段高となった。

業種別には、非鉄金属、電気・ガス、機械などが上昇する一方で、精密、倉庫が下落した。

6月の国内株式市場

6月の株式市場は、海外の景気や市場動向に注意が必要なものの、日本企業の好調な業績見通しなどを背景に高値圏での相場展開を予想する。今後は会社計画の上方修正期待のある企業や、株主還元の強化策を発表した銘柄などを中心に個別株物色の動きが強まる展開となろう。

1-3月期の実質GDP成長率は駆け込み需要の反動が影響していた設備投資、住宅投資がプラスに転化したほか個人消費の緩やかな増加もあり、2四半期連続のプラス成長と市場の予想を上回る結果となった。また、企業の3月期決算の発表では概ね好調な業績が確認され、15年度の会社計画は1割程度の増益と過去最高益を更新する見通しとなっている。例年、期初の会社計画は慎重なものとなることが多いことから、株価が調整するきっかけとなることが警戒されていたが、概ね過度に慎重な計画ではなかったことから買い安心感が広がった。為替前提は現状レートより円高水準に設定されている企業が大半であり、輸出関連企業を中心に年後半に向けての上方修正期待を抱かせる結果となった。

一方、5月後半にかけての連日の上昇によりバリュエーション面では海外の株式市場との相対的な割安感が薄れつつあり、短期的には調整局面を迎える可能性もある。ただし、需給面では公的年金や日銀の買いなどの下支えが予想されるほか、日本企業の好調な業績や株主還元姿勢などを評価した外国人投資家の買いが続くと思われ、個別株物色の動きが強まる中、高値圏での相場展開を予想する。

リスク要因としては、米国の利上げを巡る海外市場の混乱により、国内株式市場も影響を受ける可能性が考えられる。また、ギリシャの債務問題のほか、中国の景気減速や不安定な株式市場の動きにも注意が必要と思われる。

外国債券

米10年国債ドイツ10年国債
5月の米国債券市場

5月の米国の長期金利は上昇した。米国10年国債利回りは月初2.0%台前半で始まったが、ドイツの長期金利急騰を受けて2.2%台半ばまで上昇した。8日に発表された雇用統計が市場予想を下回ったため2.1%台半ばまで低下する場面もあったが、ドイツ長期金利が上昇を続けたことや、大型の起債が続いたことを受けて中旬には2.3%台半ばまで上昇した。下旬にかけては、ECB(欧州中央銀行)やFRB(連邦準備理事会)高官の発言で上下する局面もあったが、発表された指標が強弱まだらであったことや、金利上昇局面での買い需要もあったこと、ドイツ長期金利が低下したことから米国長期金利も低下基調となった。月末に発表された1-3月期のGDP改定値は、市場予想を上回ったものの前期比でマイナスとなったため、10年国債利回りは2.1%台前半に低下して引けた。

5月の欧州債券市場

5月の欧州(ドイツ)の長期金利は上昇した。月初0.3%台から始まったドイツ10年国債利回りは、前月末からの流れを引き継いで0.7%台後半まで急上昇した。中旬以降は、ギリシャ債務問題を巡る思惑や急上昇の反動もあり、0.6%台まで低下した。下旬にかけては、ECB高官の「夏場は市場の流動性が低下するため6月に国債買入れを拡大する」との発言や、別の高官による「必要であれば2016年9月以降も国債買入れを継続する用意がある」との発言を受けて低下基調となった。月末にかけては、スペイン統一地方選挙で与党が大敗したことやギリシャ問題を受けて、0.5%を割れる水準で引けた。

6月の米国債券市場

6月の米国の長期金利は横這いを予想する。1-3月期の米国経済は、ドル高や原油安の悪影響に加え、悪天候などの一時的要因で下押しされた。足元発表されている4月以降の指標もまだら模様で、明確な改善を見せておらず、FOMC(連邦公開市場委員会)でも先行きの不透明感の高まりを警戒する言及も出ている。今後は、雇用環境の改善と堅調な消費に支えられ景気は再び回復基調に戻り、今年後半以降に利上げが開始されると予想することから、長期的には金利は上昇すると見込むが、上値での買い需要が強いため、当面はレンジ内で横這いの動きとなろう。

6月の欧州債券市場

6月の欧州(ドイツ)の長期金利は小幅低下を予想する。ユーロ圏経済は、原油安による消費の好転やユーロ安の恩恵などによって緩やかに持ち直している。特に1-3月期は出遅れていたフランスとイタリアの改善が大きく、今後の見通しは両国がこの状態を持続できるかがポイントとなろう。ECBの量的緩和は順調に実施されており、実体経済への波及効果も期待される。しかしデフレが回避されるかは不透明であり、今後も国債買入れは推し進められるだろう。4月末以降のように市場が乱高下するリスクには引き続き注意が必要だが、金利は緩やかに下落する展開となろう。

外国株式

米国S&P500指数ダウ工業株30種平均ドイツDAX指数イギリスFT-SE(100種)指数香港ハンセン指数
5月の米国株式市場

5月の米国株式市場は、S&P指数で1.05%上昇した。月中に、史上最高値を更新したものの、FRB(連邦準備理事会)による利上げ観測を巡り、高値圏で神経質な展開となった。前半は、景気回復の停滞を示すマクロ経済指標で政策金利の引き上げ観測の後退がバリュエーションを拡大させたが、後半は、FRB高官による年内の利上げを示唆する発言や、ドル高に転じたことで株価の上値は重くなった。好決算を受けて、ヘルスケア、情報技術、金融などがアウトパフォームし、一方で、エネルギー、電気通信サービスが下落、公益、資本財・サービスが横這いとなった。

5月の欧州株式市場

5月の欧州株式市場は、ギリシャ情勢への懸念、ドイツを中心にした金利上昇、ユーロの反転もあって上値が抑えられる展開となった。その後、ECB(欧州中央銀行)高官による夏前に量的緩和の購入ペース加速との発言もあり、金利が低下する中、買われた。英国では、月初の英国総選挙で保守党が勝利し、現政権が継続されたことを好感して上昇した。その後は上値は重く、一進一退の展開となった。国別では、オランダ、アイルランド、イタリアなどが買われ、一方、ポルトガル、ドイツ、スペインなどが売られた。セクターでは、情報技術が大きく買われたほか、公益、生活必需品が上昇し、先月上昇したエネルギーが下落した。

5月の香港株式市場

5月の香港株式市場は、2.52%の下落となった。中国本土市場の高値警戒感や信用取引規制強化が嫌気され大幅下落で始まった。その後、中国人民銀行による利下げや更なる金融緩和期待に加え、中国製造業の高度化を目指す「中国製造2025」計画などが好感され反発したものの、月末にかけて需給や取引規制などへの懸念の台頭から下落した。

6月の米国株式市場

6月の米国株式市場は、一進一退でレンジ内の動きを予想する。FRBの利上げ観測が織り込まれつつある中で、ドル、金利などの変動により弱含む展開も想定されるものの、各国中央銀行の緩和スタンスやM&Aおよび自社株買いなどによる需給面での下支えがサポート材料となろう。また原油に関しては、OPEC総会やイランの制裁解除などの材料もあり、価格変動が大きくなると市場に影響を与えよう。

6月の欧州株式市場

6月の欧州株式市場は、中長期的なユーロ安の進展が予想され、企業業績改善期待が継続すると見込まれるものの、ギリシャ情勢や金利の上昇もあり、米国同様一進一退を予想する。

6月の香港株式市場

6月の香港株式市場は、景気減速懸念や高値警戒感などにより上値は重いと思われるが、中国人民銀行による追加金融緩和への期待や「一帯一路」、「中国製造2025」計画などへの期待も強く、一進一退の動きとなろう。

為替動向

為替(ドル/円)為替(ユーロ/円)
5月のドル/円相場

5月のドル/円相場は、円安ドル高となった。月初120円台まで上昇したが、世界的な債券市場の混乱から、リスク回避の流れで119円近辺まで円が買われる展開となった。その後、米国金利の上昇で120円台に戻したが、4月の米国小売売上高が予想を下回って発表されると119円割れまで下落した。しかしその水準では買い需要が強く、さらに月央以降日経平均株価が連日の上昇で2万円台を超えてくる動きを背景に、121円台に乗せた。22日の日銀金融政策決定会合で金融政策が据え置かれ、追加緩和期待が後退すると一旦120円台後半まで円高となったが、4月の米国CPIが予想を上振れたことや、イエレンFRB(連邦準備理事会)議長が年内の利上げ開始が適切であると発言したことを受けて、121円台後半まで上昇した。月末にかけても株価の上昇は続き、ドル/円は年初来高値であった122.04円を上抜けたことで円安進行に弾みがつき、28日には2002年12月以来の水準となる124円台半ばまで上昇し、月末も124円台で引けた。

5月のユーロ/円相場

5月のユーロ/円相場は、円安ユーロ高となった。月初、ギリシャ支援を巡る懸念からユーロが売られたことで133円台前半まで下落したが、ユーロ圏の金利急騰を受けてユーロが買い戻され、136円近辺まで上昇した。一旦133円台半ばまで下押しした後、予想を下回った米国小売売上高や、ユーロ圏の金利が再び上昇基調となり、米独金利差縮小が意識されたことでユーロが対ドルで反発すると、月高値となる137円手前を付けた。月央以降、ECB(欧州中央銀行)高官から量的緩和の計画通りの完遂や一部前倒しで実施する発言が相次いだこと、またギリシャの資金繰り懸念の高まりによりユーロが対ドルで急落する流れになると、133円台前半まで下落した。しかし月末にかけて、ドル/円が大幅上昇したことや、ユーロの対ドルでの下落も止まったことにより、ユーロ/円も上昇基調となり月末には136円台まで戻して引けた。

6月のドル/円相場

6月のドル/円相場は、緩やかな上昇を予想する。今年2月以降、ドル/円は狭いレンジ内で横這い推移となっていたが、足元は年内の米利上げ観測が改めて認識され、レンジを上抜けて円安ドル高が急速に進行する流れとなった。一旦はスピード調整から下押しする局面もあろうが、押し目では本邦投資家からのドル買い需要が強いことから、この流れはサポートされるだろう。引き続き、日銀の緩和継続姿勢とFRBの年内利上げ開始見通しの金融政策対比を反映して、緩やかにレンジを切り上げながら円安が進行する展開を予想する。

6月のユーロ/円相場

6月のユーロ/円相場は、やや円安での推移を予想する。持ち直しつつあるユーロ圏の景気や、米独金利差の縮小を背景としたユーロの反発局面は、国債買入れの完遂を示唆するECB関係者の発言やギリシャ支援交渉を巡る不透明感から、頭打ちの格好となっている。引き続きECBの国債買入れとギリシャ懸念からユーロに売り圧力が掛かると予想するが、米国景気の一時的な弱さもしばらく意識されることから、対ドルでの下落は緩やかなものとなるだろう。一方でドル/円は緩やかに上昇する展開を想定するため、対円ではやや円安での推移となろう。

虫眼鏡

サッカー観戦の新しい楽しみ方

今シーズンより、サッカーJリーグ(J1)で変わったことがあります。一つは2004年以来11年ぶりに2ステージ制が復活したことです。昨年までは1年を通じてリーグ戦を戦っていましたが、今年から2ステージ制となり、第1ステージは6月27日まで行われます。3月に始まったと思ったらもう終わってしまうので、応援しているチームの順位の浮き沈みによってはらはらする楽しみが少し失われたような気がします。

 もう一つは、今回の虫眼鏡で取り上げるトラッキングシステムの導入です。トラッキングシステムとは、軍事技術として使われる自動追尾(トラッキング)システムを応用したもので、スタジアムに専用カメラを設置してピッチ全体を撮影し、選手・ボール・審判の動きを追尾するシステムです。これにより、走行距離、走行スピード、プレーの位置やボールの動き等のデータをリアルタイムで取得することが可能となっています。既に欧州主要リーグでは採用されているものですが、日本でも新たな楽しみ方ができるようになりました。

 サッカーの試合を見るときは、スタジアムに足を運んで観戦するか、テレビで観戦するか、いずれかが多いと思われますが(ラジオで聞くこともできます)、トラッキングシステムの導入により、別の観戦方法ができるようになりました。それがLIVEトラッキングです。LIVEトラッキングとは、Jリーグの公式サイト「Jリーグ.jp」で、試合開催日に特定の1試合をアニメーション等を使ってリアルタイム中継するというものです。選手及びボールは、画面上のピッチにアニメーションで表示されます(アニメーションといっても選手は背番号が⑩のように表示されるだけですが)。同時に、音声による実況中継、チーム全体・選手ごとのデータも表示されます。データとして、ボール支配率、走行距離、スプリント回数、トップスピード、ヒートマップ、走行スピードの分布が表示されます。スプリントというのは、時速24キロメートル以上の走りのことです。また、ヒートマップは選手のプレーした位置を、色の濃さで表示したもので、多くプレーした位置が濃く表示され、どの位置で動いているかが視覚的に把握できます。

私も実際にテレビ観戦しながら、同時にLIVEトラッキングでも観戦してみました。通信状況が関係しているのかもしれませんが、少し時差がありました。テレビと比べてかなり遅れている感じです。アニメーションも少しぎこちなく、時々選手が画面から消えたりしました。まだ始まったばかりということもあるかもしれませんが、この辺は今後改善が期待されます。

一方、メリットとしては、ピッチ全体を俯瞰できることです。サッカーに詳しい人は、「試合を見るときはボールを持っていない時の動きを見ろ」などと言いますが、テレビ観戦の場合は、カメラは基本的にボールを追っているので、見えない場所がたくさんあります。しかし、LIVEトラッキングでは、全体を見渡すことができ、チームの陣形、ディフェンスラインの動き、目当ての選手がどこにいるか、などが一目でわかります。

データについては、まだ十分ではないと思いますが、これまで感覚的にしかわからなかったことを数値で知ることができます。例えば試合中のフォワードのトップスピードを見ると、速い人で時速34キロメートル程度出ており、これは100メートルを10秒6で走るスピードに相当します。個人別のデータも毎回チェックしていれば、今日はいつもより走れていないなとか、スプリントが少ないな、などと気づくこともあるでしょう。正直に言いますと、アニメーションだけでの観戦はつまらないと思いましたが、テレビを見ながらデータをチェックするというのは面白く感じました。タブレットやスマートフォンを手に、テレビで観戦するのも良いかもしれません。データを見ている間にゴールシーンを見逃すこともあるかもしれませんが。

Jリーグがトラッキングシステムを導入した目的は、1.Jリーグ全体の競技力の向上(クラブの戦力分析・強化・育成、審判の技術や規律の向上)、2.試合中継、ニュース番組、Webコンテンツ等ファン・サポーター向けサービス(観戦方法)の拡充、とされています。今後、データが十分に蓄積されてくれば、様々な分析が可能になると考えられ、戦術面での進歩や観戦方法の多様化が進むことを期待したいと思います。