コラム

Vol.46

第26回目の今回は、SASBの「Engagement Guide Version2.0」より、「消費財セクター(Consumer Goods Sector)」から「家庭用およびパーソナルケア用品(Household & Personal products)」関連企業とのエンゲージメントテーマを取り上げます。

家庭用およびパーソナルケア用品業界は、化粧品、家庭用および工業用クリーニング用品、石鹸および洗剤、衛生紙製品、家庭用バッテリー、カミソリ、台所用品などを含む、個人及び商業向けの幅広い消費財を製造する企業で構成されています。家庭用およびパーソナルケア用品セクターに属する企業は、グローバルに事業を展開しており、通常、大型小売店や食料品店、会員制ストア、ドラッグストア、コンビニエンスストア、量販店、Eコマース小売業者に製品を販売しています。また、一部の企業は、サードパーティーの小売店ではなく、個人事業主を通じて製品を販売しています。

家庭用およびパーソナルケア用品セクターのエンゲージメントテーマは、「環境」「社会資本」「ビジネスモデルおよびイノベーション」「その他考慮事項」で構成されています。

「環境」に関しては、「水管理」をテーマとして掲げており、「どのように水効率を高め、水の使用を管理しているのか?そして、水使用における最大のリスクとは何なのか?」という点と、「特に水不足の地域において、潜在的な断水やコストの増加を最小限に抑えるため、どのような戦略を採用しているのか?」という点に注目しています。

「社会資本」については、「製品の環境、健康、安全性能」をテーマとして取り上げ、「規制対象物質または潜在的に有害な物質の使用を監視、削減、または排除するため、どのような戦略を採用しているのか?」、「製品に含まれている原料および化学物質に関連するリスクをどのように評価および管理しているのか?」、「どのようなプロセスで、懸念のある新しい原料や化学物質を特定し、管理しているのか?」、「グリーンケミストリー原則を製品の設計や開発にどのように統合しているのか?」という点についてエンゲージメントすることを求めています。

「ビジネスモデルおよびイノベーション」に関しては、「包装材のライフサイクルマネジメント」と「パーム油のサプライチェーンにおける環境および社会的影響」をテーマとしています。「包装材のライフサイクルマネジメント」では、「リサイクル材や再生材をどのように包装材に取り入れているのか?」、「最適な包装を行い、環境影響を削減するため、どのような戦略を実践しているのか?」という点に焦点を当てています。「パーム油のサプライチェーンにおける環境および社会的影響」については、「パーム油のサプライチェーンにおける社会面・環境面の外部性をどのように管理しているのか?」、「責任あるパーム油調達を行うため、どのような取組みをしているのか?」という点に着目しています。

「その他考慮事項」については、「販売された製品数、販売された製品の総重量」と「製造工場の数」が挙げられています。