コラム

Vol.36

SASBの「Engagement Guide」のESGエンゲージメントを紹介する第16回目の今回は、「消費財Ⅱ(Consumption II)」セクターから「玩具&スポーツ用品(Toys & Sporting Goods)」関連企業とのエンゲージメントテーマを取り上げます。

玩具&スポーツ用品業界は、玩具やゲーム、スポーツ用品の開発、デザイン、製造を行っている業界です。この業界の収益は、世界規模で発生し、そして、その需要は、可処分所得やスポーツへの参加、季節性に左右されます。一般的に企業は、テクノロジーや品質、価格の面で競争しています。製造は主に人件費が安い新興市場で行われていますが、そのような状況は、新興国でのサプライチェーン内における労働条件に関連する持続可能性への懸念につながっています。また、玩具が幼児や子供によって使用されることから、消費者、ステークホルダー、規制当局サイドの懸念が高まっており、製品の安全性もまた重要なサステナビリティ課題となっています。

玩具&スポーツ用品業界のエンゲージメントテーマは、「社会資本」「リーダーシップおよびガバナンス」「その他考慮事項」で構成されています。

「社会資本」に関しては、「製品の化学物質及び安全性の問題」をテーマとして取り上げ、「規制対象物質に対しどのような取組みを行っているのか?また、当該商標が製品を管理・販売しているすべての国または市場の中で最も厳しい規制を反映した制限物質リストを使用しているのか?」という点と、「ハザードベースまたはリスクベースのアプローチを用いて最終製品に使用されている化学物質に関連する潜在的なリスクを管理しているか?」という点に焦点を当てています。

「リーダーシップおよびガバナンス」については、「サプライチェーンにおける労働条件」をテーマとしています。そして、「企業は製造工場とどのように協働して労働者に対する公正な処遇と安全性を確保しているか?」そして、「企業は、どのような戦略を実施して自社のサプライチェーンにおける透明性を向上しているのか?」という2点に注目しています。

「その他考慮事項」に関しては、「年間生産量」、「製造工場の数と外部委託率」が挙げられます。