コラム

Vol.41

SASBの「Engagement Guide」のESGエンゲージメントを紹介する第21回目の今回は、「テクノロジー&コミュニケーションセクター(Technology & Communication Sector)」から「インターネットメディアおよびサービス(Internet Media and Service)」関連企業とのエンゲージメントテーマを取り上げます。

インターネットメディアおよびサービス業界に属する企業は、グローバルに事業を展開しており、主にメディアとサービスの2つのセグメントに分類されます。インターネットメディアセグメントには、検索エンジンやソーシャルネットワークを提供する企業やニュースサービスなどのコンテンツを提供する企業が含まれます。一方、インターネットを通じたサービスを提供するセグメントでは、チケット販売や旅行予約などのサービスのためのプラットフォームを提供しています。この業界は、主にオンライン広告や購読料、コンテンツ販売、ユーザー情報の販売を通じて収益を得ています。

そうした状況を踏まえ、インターネットメディアおよびサービス業界のエンゲージメントテーマは、「環境」「社会資本」「人的資本」「リーダーシップおよびガバナンス」「その他考慮事項」で構成されています。

「環境」に関しては、「ハードウェア基盤の環境フットプリント」をテーマとし、「データセンターでのエネルギー使用の最適化や電力網の障害に備える企業の戦略とはどのようなものか?」そして「企業は、データセンターにおける水資源の入手可能性について考慮しているのか?」という点をエンゲージメントで取り上げています。

「社会資本」については、「データの機密性、広告基準、表現の自由」と「情報の保全」をテーマとしています。「データの機密性、広告基準、表現の自由」では、「企業は、顧客のプライバシーと信頼を維持しながら、収益機会のために顧客の個人データをどのように管理しているのか?」、「顧客情報に関する政府当局や法執行機関からの要請にどのように対応しているのか?」、「当局から要求される情報の監視、遮断、コンテンツフィルタリングおよびデータの検閲に対して、企業はどのようなリスクを受けるのか?そして、こうしたことが企業の評判や成長にどのように影響するのか?」という点に焦点を当てています。「情報の保全」に関しては、「どのようにして製品ライン全体のデータセキュリティに関するリスクを特化して対処しているのか?」、「情報漏えいがあった場合の顧客への通知手順はどのようなものか?」そして「サイバー攻撃から保護・防御するため、社内ではどのようなプロセスを採用しているのか?」という3点について注目しています。

「人的資本」については、「採用、多様性の受け入れ、人事評価」をテーマとし、「STEM(Science(科学), Technology(技術), Engineering(工学) and Mathematics(数学))専攻の優れた志願者を確保できないことによる労働力不足により、企業はどのような問題に直面するか?」「優れた技術系志願者を引き付け、採用し、定着させるために、企業はどのような戦略を採用しているのか?」そして「組織全体、特に管理職や技術職における性別や人種/民族の多様性を確保するため、企業はどのようなアクションを取っているのか?」という点を確認しています。

「リーダーシップおよびガバナンス」については、「知的財産保護および競争行動」をテーマとし、「知的財産の保護と他社の特許への侵害の可能性をめぐる法環境を企業はどのように管理しているか?」という点に注目しています。

「その他考慮事項」については、「登録者に基づく顧客活動指標」、」「データ処理能力、外部委託の割合」「データストレージ容量、外部委託の割合」が挙げられます。